マティア・デ・マルキ: もう一人のプロフェッショナル

ロードバイクに乗ることで生計を立てる。しかし、プロのペロトンの喧騒を離れて、自分のやり方でそれを行っている。それが彼の自転車競技における最大の功績なのだ。マティア・デ・マルキを紹介しよう。

動画:アレッサンドロ・ポンティ | 写真:キアラ・レダスキ | 文:フェデリコ・ダミアーニ

プロのサイクリストであるマティア・デ・マルキ(Mattia De Marchi)。その事実が彼にとって最大の功績なのだ。彼が最近のグラベル世界選手権(Gravel World Championship)で、ワールドツアープロやツール・ド・フランスの元ステージ優勝者を抑えて、トップ10にわずかに届かなかったことではない。彼が権威あるグラベルレース、The Traka 360 で3連覇し、Badlands で表彰台の頂点に立ったことや、2023年の Gravel Earth Series で総合優勝を果たしたことでもない。

マッティア・デ・マルキにとって、サイクリングは結果だけが重要ではないのだ。

「分かち合うこと。それが私に最もインスピレーションを与えてくれるものです。 そして、他の人たちと繋がること。自転車は、インスピレーションを与えてくれる人たちと出会うのに最適なツールです。また、未来にはまだ形を作れる余地があると感じますし、やるべきことに挑戦し、自分自身をさらけ出すことがたくさんあります。それが私に乗るという動機を与えてくれます。自転車競技に力を入れるために」。

サイクリングファミリー

自転車が常に存在していた家庭の出身だったマティア・デ・マルキ。9歳でレースを始めた彼だったが、同年代の他のライダーよりもはるかに体が小さかったために苦労をする。ジュニア時代に勝ち始めるまでには、何年もの努力を続けていた。2016年、彼はスタジエールとしてプロチームに加わったのだが、Tour of China でのステージ優勝と数回のトップ10入りがその機会のすべてだった。

マッティア・デ・マルキの周囲の人に言わせれば、その才能は確かにあった。しかし、U23 時代にブレイクアウェイ(逃げの戦術)を追い求め、ロードバイクを楽しみ、あまり結果に拘らなかったため、伝統的な意味での自転車競技で生計を立てる機会は存在しなかった。

プロとしてレースをするといった夢を追いかけない期間は、彼がしばらく輪の外に出るチャンスがあったことを意味していた。それは超長距離サイクリングとグラベルレースをほぼ同時に発見したこと。そして彼は勝ち始めた。トラカで優勝。バッドランズで優勝。記録を塗り替える。そして突然、Enough Cycling という形で周囲の友人たちとともに、自転車競技で生計を立て、プロのサイリストを名乗ることが可能になった。

証明するものは何もない

子供の頃、ジロ・デ・イタリアの、ピンクのジャージにまつわる神話や物語は、彼の心と体を欲望と決意で満たした。そして、マッティア・デ・マルキは自転車競技で生計を立てるために別の道を選び、グランツールへの参加は不可能になったとしても、彼はその願望をまだ止めなかった。今までは。

「ジロ・デ・イタリアに出場するという夢が完全に消えることはありません。でも今のところ、その夢は心の片隅にあります。時々それを考えますが、視点を変えました」。

5月にピンクのジャージを着て争うペロトンレースに出場する資格があることを証明しようとするのは過去のこと。今あるのは現在だけ。次の冒険。通常のカレンダーを超えて。彼自身の条件で。

「1つの目標だけにフォーカスするのではなく、物事のバランスを取ることで、別の視点が得られます。おそらく、プレッシャーが少し軽減されるのでしょう。時には、一人になりたいと思うこともあります。数日間にわたるアドベンチャーレースに参加するのですから。10月のグラベル世界選手権のときのように、世界最速のライダーに立ち向かいたいと感じる日もあります。また、探検をしたり、バイクとともにリラックスしたりする必要性に駆られることもあります。だから、未知の場所へバイクパッキングの旅をするのです」とマッティア・デ・マルキは2024年シーズンへの取り組みについて語った。

Enough Cycling について

マッティア・デ・マルキは、イタリア国内外から集まったライダーで構成される Enough Cycling の一員です。Enough Cycling は、サイクリングチームであると同時にムーブメントでもあり、超長距離レースやバイクパッキングの要素を組み合わせて、世界中の主要なグラベルレースで結果を残しています。グラベルシーンでは、彼らのオープンなアフターパーティーや全般的にホスピタリティに溢れる姿勢も高く評価されています。

Pas Normal Studios と Enough Cycling は、2022年にチームのユニークなビジュアル アイデンティティに関するコラボレーションを開始しました。このコラボレーションは2024年シーズンも継続されます。